夏ミカンのこと

 

 我が家の庭には夏ミカンの木があります。

 

 今の家を建てたとき、亡くなった私の父が、将来の孫たちが楽しめるようにと、夏ミカンの他に柿、ビワの木などを買ってくれました。

 大国魂神社の植木市で、植木が大好きで盆栽を趣味にしていた父が良いものを選んでくれたのです。

 

 それから約一年後に父は亡くなりましたが、それらの木はすくすくと伸びて、今では毎年夏ミカンが80~100個は採れます。

 とても大粒のたちで、一つが400~500グラムほどもあります。小さな庭に父が残してくれた大きなプレゼントです。

 

 とても甘く、皮に苦味も少ないので、いろいろに使っています。

 実をそのまま食べた後の皮は、黒砂糖から作ったザラメで甘く煮て、オレンジピールとして、ケーキやパンに入れます。

 

 また、苦味が美味しい我が家のマーマレードは、丸ごと1個を使って作ります。

 

 無農薬ですが、汚れを落とすため、まず皮をタワシでよく洗います。

 大きいものは八等分、小ぶりのものは六等分して、りんごの芯を取るように切り込みを入れて種を取り。ザクザクと5ミリ幅に切って鍋に入れます。

 皮も薄皮も実も、すべてそのまま刻んでしまうので、とてもラクです。取るのは種だけです。

 

 お砂糖は、好みにもよりますが、ミカンの25%位が目安です。どんなお砂糖でも作れますが、私は奄美大島の三温糖を使っています。出来るだけしろくないものをおすすめしています。

 

 お鍋の大きさに合わせて、私は1回に4個分入れて作ります。お砂糖と水1カップを加えて、煮立つまで強火、煮立ったら弱火にあいてふたを取り、30分ほど煮ます。好みの柔らかさになったら、あとは柚子のジャムづくりと一緒です。

 熱いうちに瓶に詰めてふたをし、逆さまにしてフライパンに入れ、水を1センチほど加えて15分蒸し、そのまま冷やします。

 

 そうすると、1年位は保存しておけます。一年中手作りのマーマレード楽しめます。

 

別の、皮の食べ方です。5ミリ角に切って鍋に入れ、かぶるくらいの水と煮ます。沸騰したら火を止め、そのまま蒸らします。一晩でも、一時間でも構いません。

 ざるにとって水にさらし、よく絞って水気を切ってからお砂糖をまぶして火を通す。

 

 捨てるところなく丸ごといただく我が家の夏ミカン。夏ミカンみょうりにつきると思っているのでは?と勝手に想像しながら、今年もまた感謝のうちに、美味しく使いきっています。