仙台の資福寺のこと
仙台に嫁ぎましたので、お墓参りやほうじなどには、主人の先祖のお墓がある資福寺というお寺をたびたび訪れております。
このお寺は、今から400年ほど前、伊達正宗が青葉城築城の際、仙台城の鬼門を守るために建てた、伊達家ゆかりの五刹の一つです。京都の妙心寺派の禅寺で、別名あじさい寺とも呼ばれており、とても格式の高いお寺です。
お墓参りの時、お寺さんにご挨拶してお願いすると、木で作られた小さなおかもちの中にある茶碗に、お茶を注いでくださいます。別の器には炭の小さなかけらをくべてくださり、お香と共にお墓にお供えします。
初めて見たとき、ご先祖様への丁寧な心配りのあるその風習に感動したのを覚えています。
墓前にお花と共におかもちをお供えし、炭の上にお香をくべると、いい香りが漂います。
煎れたてのおちゃと、ゆっくりと立ち上るお香の香りをご先祖様に味わっていただきながら、私達もゆったりとした気持ちでお参りをします。
また、旧盆の前日になると、あちらこちらのお花屋さんの店先に、青竹を斜めに切った筒が売られます。お盆の前日にはこれを何本も買って、親戚や親しかった方のお墓参りに行きます。
この青竹で作られた筒に名前を書いて、とがった先を墓石の前に木槌で打ち込みます。その筒に水を入れ、お花を挿してお参りをします。後日、どなたが来てお参りして下さったか、一目で分かるようになっているのです。
墓石の前に何本も青竹が立ち並び、そこに懐かしい方のお名前を見つけると、とても嬉しい気持ちになります。早速お礼のお電話をして、お互いの近況に花を咲かせます。
熱い盛りに何本も青竹を持ってお参りしたのを思い出します。
仙台から東京に住まいを移しても、お墓参りのために仙台に行きますと、ご住職様が変わらず温かく出迎えてくださいます。ずっと田舎のなかった私にとって、お墓参りのできる故郷があることにいつも感謝しています。